約 2,288,034 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/2624.html
「東中出身、涼宮ハルヒ。ただの人間には興味ありません。 この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたらあたしのところに来なさい。以上」 宇宙人?長門のことか? 未来人?朝比奈さんか? 超能力者?これは古泉か? 異世界人?……それは見たことないぞ。 「あんた宇宙人なの?」 いや、違う。 「じゃあ話かけないで。時間の無駄だから」 ちょ、ちょっと待てよ。 「普通の人間の相手をしている暇はないの」 じゃあ俺はなんなんだ。お前にとって俺は、普通の人間は必要じゃないのか? でも、俺は……それでもお前が――。 『涼宮ハルヒの交流』 ―第一章― 放課後の誰もいない教室で目覚める。 あれ、授業は?もう終わってたのか。くそっ、ハルヒも起こしてくれればいいだろうに。 ……あぁ、そういえば昼間けんかしちまったもんな。 冷静になってみると確かに俺が悪かったと思う。が、そんなに激怒するようなことでもないと思うんだがな。 とりあえず謝るだけは謝らないと。すぐには機嫌は直らないんだろうけどな。 で、今何時だ?きっと今から部室行っても怒鳴られるだろう。まぁそれでも行くしかないか。 それにしてもどうやら不思議な夢を見ちまったようだ。はっきりとは覚えていないがどうやら一年前の夢か? 入学式、出会った日のハルヒの自己紹介。その部分を見ていたことはなんとなくだが頭に残っている。 ……懐かしいといえば懐かしいか。 俺達も2年生になり、新入生を迎える立場となったわけで、それなりに勧誘もやってはみたのだが、 SOS団に入るなんて物好きなぞ結局現れなかった。 まぁ普通の人にはわけのわからない団体だしな。 そのままずるずると入部者もないまま、もうG.Wが終わってしまった。 ということは、我らがSOS団もそろそろ一周年ということか。 これからも色々とめんどうなことになるんだろうか?いや、なるんだろうな。やれやれ。 ……さて、部室に向かうとするか。 ◇◇◇◇◇ そういえば日も長くなったな、なんて考えながらも部室への道を歩いて行くと後ろから、 「おや、今からですか?やけに遅いですね」 聞き覚えのある声に立ち止まって振り返る。 「古泉か。ちょっと教室で寝てたらこんな時間になっちまってた」 「それはそれは。となると涼宮さんもご立腹ですかね」 「だろうな。でもお前と一緒なら一人で行くより少しはましかもな」 「そうかもしれませんね。そのせいですか?先ほどから浮かない顔をしているようですが」 「まぁそれもないわけではないが。実は昼間ハルヒと少しばかり激しいケンカをしちまってな。 それも含めておそらくかなり怒られるだろうからな。そりゃあ足も進まなくなるさ。 閉鎖空間、大きめのやつができたんじゃないか?すまなかったな」 「おや、それは不思議ですね。今日は閉鎖空間はまだ発生していないはずですが……。 ということは実際にはそれほど怒ってらっしゃらないのではないですか?」 ……そうなのか? あれで閉鎖空間ができてない?どういう事だ? 「それならそれでいいが…。どっちにしろ後でちゃんと謝っておくよ」 「そうですね、それがよろしいかと。お願いしますね」 古泉はいつものように笑って言う。 「ああ、あとそれに加えてさっき寝てた時に一年前の入学式の日の夢を見てたんだ。 そのせいで、ああ、俺は一年間かなり無茶をやってきたな、そしてこれからも無茶をやるんだろうな。 と、さらに憂鬱な気分になってたってわけさ」 「ふふっ、まぁそういうことにしておきましょう」 何がだよ……。古泉と並び部室へ向かいながら、思いついたことを話してみる。 「ところでさっき見てた夢のせいで今ふと思ったんだが、宇宙人、未来人、超能力者は簡単に現れたくせに 結局のところ異世界人は現れなかったな」 「おや、あなたは現れて欲しいのですか?」 そんなばかな。これ以上の騒動はごめんだぜ。 「いや、そういうわけじゃないが。どうしてなのか少し気になってな」 「どうしてだと思いますか?」 予想外の返答に思わず足が止まる。 「わかるのか!?」 「わかる…、とは言えませんね。あくまで仮説です。それでもよろしければ」 古泉に促され、再び歩き出しながら話を続ける。 「とりあえず聞かせてもらおう」 古泉はどう話そうか少し考えているようだったが、すぐに話し始めた。 「涼宮さんはこの世界の神のようなものであると僕が言ったのは覚えていますか?」 「……そんなことも言っていた気はするな」 「僕達には認識しえませんが涼宮さんの神性はあくまでもこの世界でのものと考えられます。 その根拠、とまでは言えませんが、宇宙人、未来人、超能力のどれもがこの世界の中での者です。 もし、……そうですね。この場では異世界としておきましょうか。異世界にもその力が及ぶのであれば、 我々と同様に涼宮さんの側に呼び寄せられているでしょうからね。おそらくは、SOS団の6人目として。 あるいは、……あなたが異世界人なのでしょうか?」 ニヤリと笑い古泉は言う。 「っ!?おいおい、そんなはずはないだろ?」 たちの悪い冗談はやめろ。頼んでやるからやめてくれ。 思わず慌てふためいてしまった俺を横目に、あいもかわらず涼しい顔で続ける。 「ふふっ、冗談です。前にも言ったように、あなたはれっきとした普通の人間ですよ」 「やれやれ、勘弁してくれよ」 俺の少し大きめのリアクションも気にせず、古泉は続ける。 「異世界人というのは少し特殊でして、未来人や超能力者のように力を与えれば良いというものでも、 宇宙人のようにその存在を創造すれば良いというものでもありません。 異世界に存在している、という条件が不可欠になります。となると、まずは異世界から創らねばなりません。 その気になればできるかとも思えますが、そこから人を連れてくるとなると、それは誘拐に近い行為です。 さすがにそこまではできないのでしょう。涼宮さんの良心が咎めるのかもしれませんね」 「あいつにそんな常識が通じるとは思えないがね」 「いえいえ、そんなことはありませんよ。以前にも言ったように涼宮さんはちゃんと常識を持った方です」 ……ほんとかよ。 「あるいは、異世界というものがすでにあるとしても、そこにも涼宮さんのような力を持った者、 つまり『神』が存在して、涼宮さんからの干渉を防いでいたりするのかもしれませんね」 なるほど、それならありえるかもな。 「それだと向こうの神様も必死だろうな」 ハルヒから再三に渡って人員を要求されている異世界の神様には同情を禁じえない。 とりあえず面識もないが謝っておく。うちのハルヒが迷惑をかけてすいません。 「まぁ、全て僕の仮説ですけどね。もちろんそれなりに自信はありますが。 どちらにせよ、この説がある程度でも当たっているならば、異世界人が現れる可能性は低いと思われます」 確かに、話を聞いている限りにおいては、なるほど、と納得させられるような内容だ。 まぁ、別に俺にとっては現れて欲しいわけでもないしな。いや、むしろ現れないで欲しい。 「あなたに言うべきか、少し判断に迷いますが、あなたも興味があるようですので話しておきましょう」 古泉は少し考え込むような仕草を見せた後、立ち止まって話し始めた。 「実は過去に3回、涼宮さんは異世界人を呼ぼうと試みています」 な、なんだって。どういうことだ? 「それが元から存在した世界なのか、涼宮さんがわざわざ創り出した世界なのかはわかりません。 ですが実際にここではない世界に干渉した力の発現を感じました」 「それは、例の『なぜだかわかってしまうのです』ってやつか?」 「そうです。根拠はありませんがそう感じました」 なるほどな。 「でも、それじゃあ異世界人ってのはもうどこかにいるんじゃないのか?」 「いえ、それが成功したことはありませんので、異世界人はまだいません。それに……」 古泉は笑顔になり、再び手で促し歩き出す。 「一年前、あなたと出会ってからは一度もありませんのでご安心を」 ◇◇◇◇◇ 古泉の話について深く考える間もなく、すぐに部室に到着する。 少し考え込む俺を後ろに古泉がドアをノックすると、 「はあぁい、どうぞぉ」 と、いつものように朝比奈さんの可愛らしいボイスが出迎えてくれる。 古泉はいつものようにドアを開け、いつものように 「すいません、遅くなりました」 と挨拶を交わした後、いつものように入って……は行かずに、ドアを閉めてこちらに向き直る。 「ん?なんだ?」 古泉は珍しく真剣な面持ちで 「申し訳ありませんが、少しこのままここで待っていてもらえませんか?」 「あ、ああ、構わないが?」 「すぐに戻りますので」 そう言葉を残し、部室の中へと入って行く。 一体なんだってんだ。異世界人でもいたのかねぇ。けど俺が入れない理由にはならないか。 部室の中からは微妙に声が聞こえる。 「――いえ、たいしたことではありませんので」 「そう、まぁ別にいいわ。まぁ古泉君は優秀だし、色々あるんでしょ。誰かさんと違って」 どうやらハルヒと何かしらの会話をしているようだ。 っておい!誰かさんて誰だよ?俺か?……まぁ俺のことなんだろうが。 「それで申し訳ありませんが、まだ少しやることがありまして、今日はこれで失礼させて頂きたいのですが」 「そう?まぁ仕方ないわね。古泉君は優秀だし、色々あるんでしょ。誰かさんと違って」 くそっ、また言いやがった。そんなにダメか?ダメなのか俺は? 「すいません。それと、彼もお借りしたいのですが、宜しいでしょうか?」 「えっ、俺か?」 「んー、別にいいけどこいつ使えないわよ。古泉君と違って。」 「ったく……。そのことは悪かったって、謝ったろ?勘弁してくれよ。 あ、古泉、少し待ってててくれ。これ片付けるから」 って、また言った。普通3回も言うか!?さすがにそれは酷いだろ? ……じゃなくて、ちょっと待て。中で今俺が返事しなかったか?いや、間違いなく俺だよな。 落ち着け。そんなはずはない。俺はここにいる。……でも確かに今のは俺だ。 何が起こってるんだ?どうなってるんだ?と、考えていると古泉が顔を出し、 「すいませんが屋上で待っていてもらえますか?すぐに向かいますので」 と、小声で簡単に告げる。 色々と聞きたいことはあるが、ここは仕方ない。とりあえず屋上に向かうとするか。 ◇◇◇◇◇ 第二章へ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/6004.html
涼宮ハルヒの遡及Ⅵ 「ちょっとキョン! 何がどうなったのよ!?」 「んなこと俺が知るか! と言うかこの状況を何とかしないと冷静に考えられるわけないだろ!」 などと大声で叫び合う俺たちの周囲は、巨大なバッタの大群に囲まれてしまっていて逃げ道もねえ! しかし、こいつらの俺たちの見る目は食料としてではない。まあそれは当然だな。バッタは草食だ。肉には興味がないはずだ。 もっとも、だからと言って俺たちのことを見逃してくれるような気は毛頭無さそうで、明らかにその複眼は敵意で満ちている。 「どうやって切り抜けるのよ……?」 「俺も教えてほしいくらいだ……」 くそ……古泉たちはどこに行っちまいやがったんだ……? 妙な緊張感が場を支配する。ただし、少しでも動きを見せようものなら、あっという間にその沈黙は破られ、これだけの巨体でしかもバッタの習性が失われていないとするならば、間違いなくその脚力の餌食になることだろう。この大きさが相手であれば人間の方が虫けらでしかない。 もちろん、この数が相手じゃさっきの俺の妙な力は使えんぞ。どうすりゃいい? が、 「バーストクラッシュ!」 んな!? いきなり、あたかも天から聞こえてきたかのような咆哮に俺たちを取り囲んでいたバッタたちが周辺ごとド派手に爆発して砕け散っていく! しかも一体一体なんかじゃない! まとめて吹き飛んだんだ! い、いったい何が…… 「キョン見て!」 驚嘆に叫ぶや否や、ハルヒが無理矢理俺を上に向かせる。 そこには……って、え!? 俺も驚愕に目を見張った。 なぜなら俺たちの頭上に一人、人がいたからだ。 「まったく……今度はいきなり場面が転換したし……」 むろん、それはこの場に登場してくれることに越したことがない人物。と言うか居てくれたことがありがたい。 そしてハルヒも昼間とはやや恰好が違っていようと本来の彼女の姿を知っている。 「さくらさん!」 ハルヒが歓喜の声を上げた。 どうやらアクリルさんだけがハルヒの力の影響下からは外れているらしい。 この辺りはこの人が異世界人で助かった。ハルヒの手の中にある世界とは別の世界から来ているだけあって例外なのだろう。 なんせ『場面が変わった』って言ったからな。 でなけりゃ今頃、俺たちはどうなってたか……考えるだけでも寒気が走っちまう。 あー……てことは動いたのは俺たちじゃなくて長門、古泉、朝比奈さんの方か。 てことは三人はあの場所ごと、別のところに飛ばされたってことだよな。 「で、原因は何なの? 解ったんでしょ?」 「え、ええ……まあ……」 アクリルさんの問いに俺はなんとも困った表情で言い淀むしかなかった。 もっとも、今回の相手がアクリルさんで良かったと思うのはこういうときなんだよ。 ハルヒが目の前にいても堂々と話ができるというか…… ――聞こえる? 今、念波で繋いだから。これならキョンくんも心で思うだけであたしと会話できるわよ―― という訳だ。さすがは魔法使い。テレパシーもお手の物ってことだ。 ――……手短に話してくんない? 思ったことはダダ漏れになってるから―― は、はい! 実はですね、かくかくしかじかで…… ――なるほどね。解ったわ。それじゃあとにかく他の三人と合流するのが先決ね―― って、んなことできるんですか!? ――もちろん。あのナガトって子が言ってたでしょ。あたしからあの子の『存在形態パターンの残留痕跡を感じる』って。つまり、あの子の匂いをあたしが辿ればいいのよ。あと、あたしがこっちの世界に来れたのもこれが理由―― と言うと? ――あたしは向こうの世界でキョンくんを一度おんぶしてる。その時にあなたから移った匂い=存在形態パターンの残留痕跡があたしに残っていた。その匂いを辿ってこっちの世界にテレポートしたってことよ。んで蒼葉が来なかった理由もこれ。蒼葉とキョンくんには一度も接触がなかったからあたしじゃないと来れなかったってことね―― そ、そうですか……もうほんと何でもアリだな…… ――くすっ、前も言ったけど『本当に』何でもアリって訳じゃないからね。あたしにだってできることとできないことがあるわよ。たとえば死んだ者を生き返らせることはできないし、生命体じゃないものの再構成はできない。あと、前みたいにあたしたちだけじゃキョンくんを元の世界に戻すことができない、とか。案外、できないことの方が多いかもね―― あ……云われてみれば確かに…… 「ちょっとキョン!」 とと、なんだハルヒか。どうした? いきなり割ってきて。 「はぁ? 割ってきたって何よ? 別にあんたとさくらさん、話してなかったじゃない。あたしが声をかけたのはあんたがさくらさんの質問に答えずに黙り込んだからよ」 あ――! 確かにそうだ。俺はずっと考え込むように下を向いていたし、俺とアクリルさんは目を合わせてもいない。なのに『割ってきた』という表現は確かに間違いだ。 「えっと、だな……ハルヒ、それは何と言うか……」 俺は答えに窮した。まさか素直に、 「今、あたしとキョンくんはテレパシーで会話してたから、って、だけ」 と言う訳にもいかんし……って、さくらさん!? 「ん? 別にいいんじゃない? だってハルヒさんもあたしが魔法使うってこと知ってるんだし、伏せる意味なんてないじゃない」 い、いやまあ……確かにそうなんですけど何と言うか…… 「テレパシーですって!? さくらさん! それ、魔法を使えなくても、前に蒼葉さんから貰ったあの石が無くても交信可能なの!?」 ほらやっぱりな。ハルヒが目を爛々と輝かせるのは目に見えていたさ。だから、それをハルヒが『常識』として認知するのがはっきり言って怖いんだが…… って、おい! 俺は無視かよ!? などと心の中でツッコミを入れる俺の眼前では、ハルヒとアクリルさんが何やら俺には聞こえない会話を交わしている。 ハルヒの奴、実にいい笑顔だな―― って、何を感慨に浸っている俺! 「キョン! あんただけ何、こんな面白いことを独り占めしようとしてんのよ! こういうことはみんなで分かち合うもんよ!」 あーハルヒの奴、本当に嬉しそうだな。光が弾けて大爆発してもまだ後から後から湧いてきそうなはちきれんばかりの笑顔だ。 「分かった分かった。じゃあ、さくらさんがお前にも言ったと思うが、これから長門、古泉、朝比奈さんと合流しようぜ」 「へ? どうやって?」 言ってなかったんですか!? さくらさん! 「言ってないわよ。だって、さっきのテレパシーは『キョンくんとこうやって話してたの』くらいの説明しかしてないし。あっそうそう、もう一つ、『これも魔法使いかそういった能力者じゃないとできない』って付け加えておいたから」 「何よキョン。ひょっとしてまだあたしに隠していることがあるの?」 いやぁ別に何も隠していませんよハルヒさん。ですから、そのにんまりした悪企み視線をぶつけないでください。 結構、心臓に悪いんで。 って! 「えっ!?」 俺とハルヒが驚嘆の声を上げたのは当然だ。なんたって―― 「説明の必要はないわよ。論より証拠。ハルヒさん、キョンくんの手をしっかり握って。あたしはあなたの手をしっかり握るから。絶対に離しちゃ駄目よ。離してしまうと今度は三人バラバラになる可能性があるんだから」 そう、アクリルさんがにこやかに告げると同時に、彼女を中心に、いきなり光が俺たちの周りに駆け廻り、円を作ったんだ。 しかも勢いを加速させながら回転し続けているし、その振動が地面を伝わって俺たちの全身を包み込んでいる。 こ、この現象は……!? 「何? 何なの?」 ハルヒが珍しく狼狽している。まあ仕方がない。いきなりこんな超常現象が起これば、たとえ、普段から望んでいたとしても、いざ、現実になれば誰だって驚くに決まっている。 「空間移動魔法よ。ナガトさんの匂いを辿って、そっちに行くから。さ、早くキョンくんの手を握って」 「は、はい!」 言って、ハルヒは俺の手を強く握る。 「ほらキョン! あんたもしっかり握りなさい! 離すんじゃないわよ!」 「お、おう!」 なんたってアクリルさんが結構物騒なことを言ったからな。もし、アクリルさんが、いや、アクリルさんだけじゃない、長門、古泉、朝比奈さんとだって逸れてしまうのは絶対にまずいだろう。なんせ俺が有している力は集団でかかってこられると何の役にも立たんからな。 くそ、ハルヒは俺になんて中途半端な力を付けやがる。 「じゃあ行くわよ!」 アクリルさんが吼えると同時に光度と円を駆けるスピードの勢いが増す! そしてその高度が光の柱となって俺たちの周りに立ち上ったんだ! そのまま左手人差し指を天に向け、 「テレポテーション!」 アクリルさんが声を上げた刹那、俺はなんだか目の前が光に包まれ、体が光に溶け込むような錯覚を感じた。 ……さて、俺たちは首尾よく長門、古泉、朝比奈さんと合流できたわけだが…… 「キョ、キョンくぅん……!」 「なっ!?」 いきなり、朝比奈さんが泣きながら抱きついてきたのである。 あ、朝比奈さん……周りを見ましょうね周りを…… などと苦笑を受けべて心の中で思ってみても、もちろんどうにもならないのである。どうにもならないのだが…… 「ギンプロデクション!」 俺たちの周囲を空間ごと震わす大爆撃音! もっともそれはアクリルさんが創り出した透明感あふれる淡い光のドーム型障壁によって俺たちにはまったく被害は及ばない! まあ、この爆撃のおかげでハルヒ火山の噴火からは免れたことだけは確かだな。 ささ、今のうちですよ、朝比奈さん。名残惜しいのは俺も同じですが、離れましょう。 「そ、そうですね……」 小声で呟き二人は離れる。 そんな俺たちを見ることすら、ハルヒが忘れてしまうことが眼前で起こっているのである。 「何あれ?」 多少のシリアス感はあるものの、どちらかと言えばあまり緊張感を感じられないアクリルさんが問いかけたのはハルヒに、だ。 その視線は、長門がスターリングインフェルノを振るいながら、古泉が赤いエネルギー球をぶつけながら攻撃している、ティラノザウルスとプテラノドンを足して、凶悪にぬめり輝く牙を存分に見せつける体長10mほどの見るからに堅そうな漆黒の鱗に包まれた……そうだな、こう表現するしかないだろう。 『空飛ぶ怪獣』を数匹捉えているのである。それも上空には大軍でいるように見えるのだが…… 「あ、えと……あたしが今作ってるストーリーに出てくる敵キャラ……」 「ふうん。なるほど、センスは悪くないわね。確かに凶悪で強そうよ」 「そ、そうかな?」 アクリルさんが笑顔で感想を述べられて、ハルヒがまんざらでもない表情を浮かべている。 って、そんな場合か? などと心中でツッコミを入れる俺も実はあまり危機感を感じていない。 「で、あんなのがあとどれだけいるの?」 アクリルさんが悠然と問いかける。 「ううん……一応、ミクル、イツキ、ユキに一人当たり十匹から二十匹は担当してもらってその上に君臨するボスキャラを三人で協力して倒してもらうつもりだから合わせて五十匹プラス一、ここに見えてる分と他には一匹ってところです」 「了解」 頷いて、アクリルさんが戦場へと歩み出る。 おや? この結界術が消えない? 「ねね、ひょっとしてさくらさんが戦うの?」 まあそうだろうな。でなきゃ俺たちをここに残す訳がない。しかも俺たちはあの人の結界術に守られている。完全に観客に徹していられるぞ。 「うん! これはいいわね! ミクルが負傷して戦線離脱! ピンチに陥ったイツキとユキの援軍として異世界からキョンから事情を聴いた援軍が訪れる! もう急展開ってやつよ!」 「え? ということはあたし、危ないことしなくていいんですかぁ?」 あのー朝比奈さん? あなたは主人公のはずなのですが? なのにその晴れやかな笑顔はどうかと。 というか、何の伏線もなしにストーリーの中の『俺』が異世界人と知り合うのもなんだかなぁ。 「理由付なんて後から何とでもなるわよ! だいたい少年誌だと売れている漫画家になればなるほど、伏線を無視したり、無かったことにしたりして行き当たりばったりでストーリーを作っていることが多いんだから!」 いや、それは多分に偏見が混ざっていると思うぞ。何よりお前が一番伏線無視して行き当たりばったりだろ。 しかしまあ朝比奈さんが傷つく姿は見たくありませんからミクルの戦線離脱はある意味、理想の展開だろうか。 もちろん、長門や古泉のことも心配だが、あの二人は勇猛果敢に立ち向かう役割の方が似合っている気がするのでこの際、頑張ってもらうでよしとしよう。 すまん、長門、古泉。 もっとも、それはアクリルさんがいるから思えることなんだ。 なんて思ってる間に、アクリルさんが地を蹴って、宙を駆けるように舞う! 「スターダストエクスプロージョン!」 と、同時にあの、銀河を駆ける数多の流星を彷彿とさせる広範囲粉砕魔法を発動させる! さすがに体長十メートルだけあって、全て吹っ飛ぶという訳にはいかんが、そうだな、十匹は吹っ飛んだ! で、いったん、着地して、古泉と長門の前に立つ。 「これはこれは」 「頼もしい助っ人」 古泉は会心の笑顔で、長門はいつも通りの至極冷静な表情で呟いたのではなかろうか。後ろ姿だから確認はできんがそれくらいの確信を持てる声色だったしな。 「さぁて、一気に片付けるわよ!」 再び、上空の怪獣を睨みつける古泉、長門、アクリルさん。 おそらく三人には勝利を確信した笑顔が浮かんでいるはずである。 「セカンドレイド!」 怪獣の口から撃ってくる妙に赤紫の炎を全身で纏った赤いエネルギー球をバリアにして宙を舞いながら流れるように接近しつつ、勢いに頭髪を風圧になびかせる古泉が懐に飛び込んで放ったエネルギー球が一匹の翼竜を粉砕すれば、 「……」 三匹ほどの翼竜に、これまた宙に浮き、見事な誘導を仕掛ける避け方でわざと囲まれた長門がスターリングインフェルノを新体操選手のリボンよろしく、どこか見惚れてしまう手さばきで振りかざす。 刹那、翼竜たちが漆黒の闇に喰われて消滅する。 で、もう一人、 「アルゲイルフォルス!」 アクリルさんが開放した、あたかもマグマのような業火の孔雀がまた一匹、翼竜を飲み込んでいるんだ。 もちろん、翼竜たちが攻撃していない訳じゃない。 しかし、この三人の動きに対応するにはその巨体が邪魔しているのだろうか、捉えることができないんだ。それにしても古泉と長門の攻撃力が上がっているような気がする。なんたってアクリルさんが戦線に加わるまでの攻撃では翼竜一匹すら三人がかりでかかって行かないと倒せなかったんだからな。それがいきなり一人一匹は確実に素早く一撃で倒せている。これもアクリルさんが何かしたのだろうか。三人の前では五十匹という数がそんなに多くないように見えなくもない。 まあ、もっとも、 「ひぇぇぇぇぇぇぇ!」 「うぐ……」「ん……」 朝比奈さんが頭を抱え込んでしゃがみ込み、俺は右手を、ハルヒは両手を目の前にかざしてしまうほどの対峙の余波が俺たちを襲ってくるんだがな。 アクリルさんの結界術の中にいるから、ダメージはまったくないが、踏ん張らなきゃならんほどの多少、強めの風圧は来るし、地響きを引き起こすほどの振動もある。周囲がどうなってるかは瞳に飛び込んでくるわけだから言わずもがなってやつだ。 ……こんな凄い状況下に、あいつらはいるのか……? 戦慄を覚えずにはいられん。 「ねえキョン」 「何だ?」 「とんでもないわね、この臨場感」 「まあそうだな。なんたって夢でも幻でもない。今、現実に目の前で起こっているわけだからな。おっと心配するな。確かにお前がこの世界を創り出したが、今回は別の異世界を存亡の危機に立たせている訳じゃないらしい。さくらさんがそう言ってた」 古泉からはこの世界は広がらないと聞いているし、表現はされてなかったが、俺はアクリルさんからそう聞かされていた。 そんな俺の言葉に、どこか安心したのか、ハルヒが笑顔を浮かべて聞いてくる。 「この凄さをあたしに表現できると思う?」 なんか場違いな会話だが、ま、それはそれだけ俺たちがあの三人を、いや、正確にはアクリルさんを信じてるってことだ。俺たちを守ってくれているのは勿論、古泉、長門を決して危ない目に合わせないってな。その確信を持つことができる表情をあの人はしていた。 「お前ならできるさ。いや、これ以上のとてつもないものを表現できると思うぜ」 「ふふっ、ありがとうキョン。そう言ってもらえると嬉しいわ。ますます創作意欲が湧いてくるってもんよ」 それはいいが、頼むから今後は紙の上だけにしてくれよ。今度、俺たちが巻き込まれた時は助っ人がいるとは限らんからな。 勝ち気いっぱいの笑顔を浮かべるハルヒに苦笑を浮かべる俺。 「どうやらボスのお出ましのようですよ」 ん? 古泉がすぐそばに立ってやがる。よく見ればその反対側には長門も。もちろん結界の外ではあるんだがな。 もちろん、アクリルさんは俺たちの正面だ。 てことは、あの五十匹は片付いたってことか!? すげえ! 「さくらさんのおかげですよ。本当に助かりました。あれだけの数を一人で三分の二は倒してしまったのですからね」 だろうな。あの人のとんでもない強さは俺も向こうの世界で目の当たりにした。 なんせ攻撃属性の水中生物相手に水中で、それも百匹以上を一人で俺ともう一人を守りながら殲滅させてたし、怪獣付野盗の巣窟を秒殺した御方だ。 しかも、お前の云う《神人》をたった一人で数えきれないほどの数を吹っ飛ばした蒼葉さんよりも戦闘力があるってことらしいからな。ひょっとしたら今回の翼竜数程度じゃ数の内に入っていないのかもしれん。 「……今の話は初めて聞きましたよ? あの《神人》を……たった一人で滅ぼせる方がおられたのですか……?」 古泉が愕然たる表情を浮かべているが、 「すまん……だが、この話は勘弁してくれ……重い出来事を思い出してしまう……もっとも、それは背負っていかなきゃならんことなんだがな……」 「だよね……」 俺とハルヒは沈痛の表情を浮かべて俯くしかできない。そんな俺たちの様子に、古泉はさらに何かを聞こうとしていたみたいだが、俺たちの心中を察してくれて、それ以上は聞いてこなかった。 ちなみにハルヒはあの世界の青白い巨人のことを知っているので傍にいようが、古泉とこの話をしていようが問題にならん。名前については古泉が話したしな。 代わりに視線を再び前方へと向ける。 見れば、大地を揺るがせながら何か山みたいなものが地平線の彼方からのように近づいてきつつあったのである。 涼宮ハルヒの遡及Ⅶ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1066.html
涼宮ハルヒの戦場 その1 涼宮ハルヒの戦場 その2 涼宮ハルヒの戦場 その3 涼宮ハルヒの戦場 その4 涼宮ハルヒの戦場 その5 涼宮ハルヒの戦場 その6 涼宮ハルヒの戦場 エピローグ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/4385.html
ゆっくりと扉を開けて俺たちは部室に戻ってきた 中ではそれぞれがそれぞれの指定席に座り、…朝比奈さんは立っているのが指定に近い感じがするのだが いつもどおりの、古泉は微笑、長門は無表情、朝比奈さんは怯えた表情をしていた …あれ?いつもどおりじゃない人間が一人いるな、たまになら見るが、朝比奈さんは何に怯えているんだ? …あぁそうか、そうだよな 朝比奈さんは俺にキスしたんだった そりゃ、ハルヒに何されるかわかったもんじゃない ま、予想どおりといったところだろうか、ハルヒが朝比奈さんの方を向いて話し掛けた 「みくるちゃん」 それは普段のハルヒからは想像しがたい優しい声だった まるで母親が自分の子供をあやすような それでも朝比奈さんはびくっとしていたがな 「ありがとう、ね」 いったい、何がありがとうなんだ? 誰か俺に説明してくれ …あとで古泉にでも聞くか それを受けた朝比奈さんは溢れんばかりの満面の笑みで元気よく 「はい!」 とだけ言った そのあとだが、恐らく今回は大体を知っていたであろう未来人・朝比奈さんが持っていたバスタオルで体を拭いたあとハルヒは朝比奈さんの、俺は古泉の持ってきていた着替えに着替え、団活を開始した この準備の良さをみると、古泉も知ってやがったな 八つ当りとは言わないが、いつもどおり、俺は古泉とのボードゲームに連勝し、長門は本を読みふけ、朝比奈さんは給仕にいそしみ、ハルヒはネットサーフィンに興じている 対戦中、何度かハルヒと目が合ったのは心にしまっておこう やはり、いつもどおり長門が本を閉じる音で部活が終わる なんかいつもどおりの一日だったな、確かに世界は急に色を変えないよな それが変わっていたら8割方ハルヒのせいだ 部室をでたあとハルヒが手を握ってきた 俺は少し慌てたがもう3人とも知っているんだろうな、と考えそのままにした 5人で歩く帰り道、いつもは先頭にいるハルヒは一番後ろの俺の横で少しはにかみながら歩いている 代わりに先頭を行くのはハードカバーを文庫本に持ちかえ、それを読みながら歩いている長門で、その後ろで古泉と朝比奈さんが談笑しながら歩いている 幸いにも雨は止み、控えめに赤い太陽が顔を出している 横を見れば顔を朱に染めたハルヒがちゃんといる 俺はハルヒに耳打ちしていた 「そっと抜け出さないか?二人で」 ハルヒは一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに100Wの笑顔に戻すと大きく頷いた 長門にはバレていただろうが、いやもしかしたら全員にバレていたかもしれない 前の3人に気付かれないよう、こっそり脇道にそれた そのまま歩いて辿り着いたのは、この春休みに思い出深い、花見と、ハルヒの告白と…長門のマンションの近くの公園 桜達は、すでに花びらを落とし、早くも来たるべき夏に向けて準備をしていた しかし、抜け出してきたのはいいが、いったい何をしたらいいんだろうな とりあえず、ラブラブしたらいいんだろうが、そんな経験がない俺には何をもってラブラブというのかわからん 「おっ!キョン君にハルにゃんじゃないかっ!!」 突如後ろから聞き慣れた元気な声が聞こえる 振りむけばやはりというか鶴屋さんだった 「手なんかつないじゃって、ラブラブだね!お姉さん少し羨ましいにょろよ?」 ハルヒは照れている 顔が真っ赤だ 恐らく、冷静に観察してる俺も真っ赤だろう 「ええ、付き合うことになったんです」 それでも俺は某3倍早いMSのように赤いであろう顔に押さえ込まれないよう、できるだけ冷静を保って言葉を出す しかし、それも無駄な努力だったようで鶴屋さんは腹を抱えて大笑いしていた 「あっはっはっは!…そんな真っ赤な顔で…ぷぷ…真面目に言われてもねぇ…はっはっは…まぁ末長くお幸せに!これは鶴にゃんからの贈り物っさ!」 鶴屋さんはそう言って何かを俺の手に握らせる 「ハルにゃんを泣かせたらあたしが承知しないよ~!」 走りさりながら手を振る鶴屋さんを見送ったあと俺は手の中のものを確認した それを見た俺は苦笑する以外に選択肢はなく、覗き込んできたハルヒは顔をさらに赤くしていた 鶴屋さんはなぜ、こんなものを持ち歩いてあるのだろうか 俺はその0.03㎜の贈り物を使う日がいつ来るか考えていた
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1054.html
第二章 七月に入りやはりハルヒは憂鬱になっていた。今回憂鬱な理由は俺にはわかる。 きっと4年前のことを思い出しているに違いない。 4年前に何があったかというと俺は朝比奈さんに4年前に連れて行かれ幼いハルヒに声をかけ話をした、 それだけならまだしも俺は校庭でハルヒの落書きの手伝いをしたのだ、というか俺が全部やった。今考えると映画作りやらホームページ作りやら何も変わってないじゃないか。 そしてハルヒには正体を黙りジョンスミスと名乗った、そして幼かったハルヒに向かって「世界を大いに盛り上げるジョンスミスをよろしく」と叫んだ。 恐らくはこれが原因で世界を大いに盛り上げる涼宮ハルヒの団、通称SOS団なんて名称にしてしまったんだろう。 大体、世界を大いに盛り上げる~なんてのは誰が最初に考えたのだろうか。 時系列的に言えば俺がハルヒに「世界を大いに盛り上げるジョンスミスをよろしく」と言ったのが原因だがそれを教えてくれたのは朝比奈さん(大)で、 恐らく俺は未来に朝比奈さん(小)にそのことを言ったのだろう、じゃ無ければ朝比奈さん(大)がそれを知っているわけが無いからだ。 そして朝比奈さん(大)が俺に教えて… そうなれば考えた人間を辿って行くと延々ループするので頭が痛くなる。 話がそれた、ハルヒはこの事を思い出して憂鬱になるのだ。 やはり元気を出して欲しいとこだがこればかりはどうしようも無い。 ここは早々に七夕がすぎるのを待つしかない。そんなことを考えていた。 しかし古泉曰くハルヒを暇にしてはいけないので何か考えなければならない。 そしてこの時期に憂鬱を晴らす方法があるとしたら一つしかない。 涼宮ハルヒとジョンスミスを接触させる…簡単なようで全く不可能な話である。 無理だ、あきらめよう。 またなんか考えてやるからそれまで我慢してくれよな、ハルヒ。 ふと何で俺は古泉みたいなことを考えてるのかと思った。 まあいいか楽しいし、今なら孤島での殺人事件の芝居も許せるかもしれない。 などと考えていた。 7月5日のことである。 ハルヒはこう言った。「明日七夕の短冊を書くから何を書くか考えてきてよね!」 俺は何故明日なのだ?七夕は明後日で平日のはずだ。と思ったがあえて口には出さなかった。きっと何か考えがあるのだろう。そう考えることにした、ほかのみんなもそう思ったのか同じ反応を取った。 翌日ハルヒは去年と同じような竹を持ってきた。 「さあみんな!思う存分願い事を書きなさい!!!」そういってハルヒはふっといペンに堂々とした字で何かを書き出した。 なになに?明…日…あ…の…人…に…会えますように? なんだって?これは予想外だ、何てこと書きやがる。 当然何も知らない朝比奈さんは「あの人って誰なんですか?」とハルヒに聞いた、古泉も興味津々である。 ハルヒは遠いところを見るような面持ちでこう答えた。 「私…昔の七夕でね、学校に忍び込んで校庭に宇宙人へのメッセージを書こうとしてね…一人の不思議な男と出会ったのよ。 名前しか知らないんだけどね、会えたのはそれっきり。いろいろ探してみたけど見つからない。私はもう一度会ってみたいの。」 朝比奈さん答える。「会えるといいですね…その人に…。」 朝比奈さんの目が輝いていた。 結局短冊に何を書いたのか、見せたのはハルヒだけであった。 ハルヒは俺の書いた短冊を見せろと襲ってきたが何とか短冊を死守した。 そして俺は書いた短冊を誰にも見られないようにかばんの中に入れて隠した、こんなもの見られたら俺は自殺してしまう。長門や朝比奈さんや古泉も誰にも見せずに持って帰ったようで結局飾ってあるのはハルヒの短冊だけであった。 朝比奈さんや長門がなんと書いたか少し気になるのだが。 そんなこんなで今日の活動は終了し解散した。 自宅に戻った俺は一度投げ出した問題について考えていた、 結局思いついたはというと、、、 ①今の俺だとすぐにばれるので3年後の俺を今に連れてこさせハルヒに会わせる ②長門のインチキマジック ③古泉を変装させジョンスミスと名乗らせる ここまで考えた時点であきらめた、不可能を可能にするのは不可能だ。まあ何とかなるだろう。 俺はいつもより少し早く床に着いた。 第三章
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/6543.html
新川「涼宮ハルヒのお願い!ランキング!!」 多丸兄「今回のテーマはこちら!!」 森「本当に可愛い北校生がしりたーい!!」 多丸弟「そしてそれらの美少女たちを審査する美食家アカデミーはこちらぁっ!!」 キョン「どうも、キョンです。座右の銘はポニーテールは人類の宝です」 古泉「これはこれは……古泉です。今回はよろしくお願いしますよ、んっふ」 谷口「女の審査は任せろ!!!なんなら俺的北校美少女ランキングを公開してm」 国木田「国木田です。始めまして」 多丸弟「以上の四人の美食家アカデミーが、それぞれ10点ずつの持ち点、合計40点満点で審査してランキングを作成するぞ!!」 新川「機関のブレインたちが汗水垂らして作成した予想ランキングはこちらぁっ!!」 第一位 涼宮ハルヒ 第二位 朝比奈みくる 第三位 長門有希 第四位 鶴屋さん 第五位 喜緑江美里 第六位 朝倉涼子 第七位 阪中 佳実 森「上位三位はやっぱりSOS団が占めてるみたいね」 多丸兄「果たして一番可愛い北高生の称号は誰の手に!?それでは参りましょう!!まず第七位はこの方!!」 新川「阪中さん!!さて、美食家アカデミーたちの反応は?」 キョン「うーん……普通なんだよな」 古泉「普通ですね……」 谷口「うん、これといった特徴がねえんだよなあ……たしかに顔も可愛いし、スタイルだって悪くないんだけど……なんだかなあ」 国木田「普通に見てもかなり可愛い方だと思うけど、やっぱりこれだけ個性の多い北高生の中ではなんだか見劣りするものがあるよね。あと特徴的な口調だけど……僕的にはかなりマイナスかな。普通のしゃべった方が可愛いと思う」 多丸弟「早速美食家たちの厳しい指摘の声!!さて、開発者……もとい、美少女たちの反応は!?」 阪中「みんなひどいのね」 ハルヒ「どうどう」 みくる「ていうかなんですかぁこの企画……」 長門「普通に引く」 森「番組の内容自体に不満が集中しているぞ!」 新川「……」 多丸弟「さあ、気になる得点は!?」 キョン「7点です」古泉「5点です」谷口「4点です」国木田「6点です」 合計 22点 ハルヒ『うわぁ……厳しいわね』 みくる『涼宮さん、そんなこと言ってる場合じゃないですよう』 朝倉『谷口君にこんな点数付けられる筋合いないと思うわ』 長門『そう。あれは人類の最下層に位置する個体。採点する資格も無ければ、気にする必要も無いものと思われる』サスサス 阪中『うう……』 長門(ここで媚売っとけばシュークリームが) 新川「さて、ここまでは機関の予想通りの結果に!!続いて第六位に美食家アカデミーの選択した美少女は!?」 多丸兄「涼宮ハルヒ!!これは機関予想を大きく覆しての第六位だ!!美食家アカデミーたちの反応を見てみると?」 キョン「ハルヒか……黙っていてなおかつポニーテールにしてたらかなりいいんだけどな……でも最近髪短くしてるし騒がしいし……」 古泉「うーん……立場上言えませんでしたが、彼女あなたがいないときよく団室で放屁されるんですよ」 キョン「マジか」 古泉「えらくマジです。……そんなこともあって残念ながら僕もあまり高評価は下せませんね」 谷口「俺は一度振られた女には低評価を付ける事にしているんだ。それに性格も腐ってやがるしな」 国木田「そんな事誰も聞きたくないし、言っちゃだめだよ谷口。涼宮さんか……僕はそこまで悪いとは思わないけどな……でも、文化祭の映画のときのことキョンから聞いたんだけど、朝比奈さんにあんなことするのは良くないと思うな。でも最近はそんなことしないみたいだからそこまで悪い評価は上げられないよ」 多丸兄「世界が滅びそうな厳しいコメント!!美少女達の反応は!?」 ハルヒ『むきー!!!!』 みくる『涼宮さん落ち着いて……』 長門『正当な評価』 ハルヒ『有希!?』 長門『今のは腹話術。朝倉涼子改めまゆりんの陰謀』 朝倉『ちょっと長門さん!?まゆりんってなによ!?』 長門『ユニーク』 ハルヒ『……ともあれキョンと古泉くんにはおしおきが必要ね』 鶴屋『あははっ、キョンくんにげてー!!にょろ!!』 喜緑『なかなか厳しいようですね』 森「あまりに厳しい審査に、動揺が隠せないようだぞ!」 多丸弟「それでは気になる点数は!?」 キョン「6点です」古泉「6点です」谷口「3点です」国木田「8点です」 合計23点 ハルヒ『ぬがああああ!!!!!!!』 みくる『涼宮さん!!握りしめすぎて爪が掌に刺さって血がだくだく出てます!!危ないです!!』 長門『ユニーク』 ハルヒ『有希!?』 長門『見ざる聞かざる言わざる。まゆりんの陰謀』 朝倉『知らないわよ!?』 鶴屋『知らざるだねっ!!』 森「なんだか本人以外特に気にしてないみたいだぞ!」 ~この番組は世界の明日を作る、機関の提供でお送りしています~ CM中 キョン「………そろそろ説明してもらおうか」 古泉「なにがですか?」ニコッ キョン「とぼけんなって。あと古泉スマイルとかそういうのマジでいらないから」 古泉「んっふ、これは手厳しい」 キョン「だれの陰謀だ。ハルヒか?」 古泉「いや、今回は涼宮さんとは無関係ですよ。ついでに言うと貴方の親友の佐々木さんも無関係です」 キョン「じゃあなんでこんなことを」 古泉「分からないのかね?」キリッ キョン「え?」 古泉「そっちの方が、面白いだろう」ダイハツッ キョン「………」 古泉「いや、止めましょうって。無言で鉄パイプとか振りかぶっても面白いことなんてありませんから」 ~ここからは神人たちから世界を守る、機関の提供でお送りします~ 新川「予想一位のまさかの六位転落!!大波乱のまま続いて第五位に選ばれたのは!?」 多丸兄「朝比奈みくる!!またしても機関予想を大きく裏切る結果に!!美食家アカデミーたちは一体どのような反応を示したのか!?」 キョン「この人は……可愛らしいな。そして巨乳なんだが……」 古泉「貴方の仰りたい気持ちは理解しました……何かが足りないんですよね?」 キョン「ああ、そうだ……そして、言っちゃ悪いが影が非常に薄い。……残念だ」 谷口「俺的美的ランクで言えばAAAなんだが……たしかにキョンたちが言うとおり、何かが足りないんだよな」 国木田「すごく阪中さんとケースが似てるんだけど……やっぱりこの人の場合、お茶汲みメイドのキャラ設定とか、様々なキャラが涼宮さんによって後付けされたものだから 微妙なんじゃないかな?やっぱり個性ってものはその人自身でつけるものだし……」 多丸弟「北高のマドンナと称される朝比奈みくるの評価に意外すぎる厳しい声が!!これを受けて美少女たちの反応やいかにっ!?」 みくる『殺す。[禁則事項]で[禁則事項]して殺す』 ハルヒ『はっ!!みくるちゃんからドス黒いオーラが立ち上ってるわ!!』 長門『当然。意味のない脂肪をつけていたらだれでもこうなる』 ハルヒ『有希!?』 長門『まゆりん、いい加減にしてほしい』 まゆりん『長門さん?いい加減にしないと、今日のハンバーグあなたのだけ豆腐のやつにするわよ?』 長門『なぜあんなことをしてしまったのか自分にも理解できない。深く反省している。もうしない』 朝倉『よし』 森「どうやらSOS団の女性陣は怒ると人格が変わるようだぞ!」 新川「さて気になる点数は!?」 キョン「7点です」 古泉「6点です」 谷口「7点です」 国木田「7点です」 合計27点 みくる『でも涼宮さんより4点も上なんだぁ……ふふっ』 ハルヒ『みくるちゃん!!それどういう意味よ!?』 長門『超低空飛行な争い。ゆきりん見てられない』 ハルヒ『有希!?』 長門『まy……喜緑江美里改めわかめ星人は少し自重してほしい』 喜緑『長門さん?今なんと?』ニッコリ 長門『ご……ごめんなさい。ぶたないで。わたしの髪の毛をわかめに変えないで』ガタガタ 森「どうやらSOS団内の友情に亀裂が生じてきたようだぞ!」 多丸弟「さて!!大波乱が続くなか、お次は第四位!!ランクインしたのは……」 多丸兄「喜緑江美里!!美食家アカデミーの感想は?」 キョン「おお……喜緑さんか…!!美人だ……ただ」 古泉「ええ………この美貌には、朝比奈さんや涼宮さんとは違った何かを感じます。本当に気品があって上品そうな美人ですね……ですが」 谷口「うほっ、この人ってあの生徒会きっての美人の喜緑江美里さんじゃねえか!!お綺麗だなぁ……惚れ惚れするぜ!!……だが」 国木田「やっぱりこの人は上級生だけあって大人っぽさがあるよね。この人にも僕憧れてるんだ。ちょっとね。……けど」 キョン「わかめだ」 古泉「わかめですね」 谷口「わかめだな」 国木田「わかめだね」 喜緑『パーソナルネーム「キョン」「古泉一樹」「谷口」「国木田」の情報連結の解除を申請』 朝倉『ちょ、落ち着いてよね』 長門『そう。貴方がわかめなのはもはや避けようのない規定事項』 ハルヒ『有希!?』 長門『阪中佳実、出番がないからといってわたしにアフレコをするのは推祥できない』 阪中『はひっ!?』 鶴屋(出番がないのはわたしも同じっさ) 森「出番争いという新たな争いが起こっているようだぞ!」 新川「さて、気になる得点は!?」 キョン「8点です」 古泉「8点です」 谷口「8点です」 国木田「7点です」 合計31点 森「ついに大台の30点突破!!これに対して美少女の反応は!?」 みくる『くそワカメが。わたしの方が絶対可愛いわ』(すごいですぅ喜緑さん) 鶴屋『みくる、逆、逆』 喜緑『……まあ、わかめと言われたのは癪に障りますが、30突破は気分がいいですね』 長門『』スック トトトト 喜緑『あら、長門さん。なんですか?』 長門『TFEI最弱が』ボソッ 喜緑『』ピクッ 長門『』トトトト ペラッ 朝倉『は、は、ははは……』 阪中(帰りたいのね) 森「女の争いは恐ろしいぞ!」 新川「続いては第三位!!と、その前に……」 森「涼宮ハルヒの番外!ランキング!!」 多丸弟「ノミネートされたのはこちらのメンバーだ!!」 機関予想 第一位 佐々木 第二位 渡橋泰水 第三位 周防九曜 第四位 橘京子 多丸兄「こちらの佐々木団+αも美食家アカデミーに審査してもらおう!!」 森「本当は妹ちゃんやミヨキチちゃんもいれたかったけど、妹ちゃんはキョンくんの肉親だし、ミヨキチちゃんはあまりにも資料が無かったのでカットさせてもらったぞ!」 新川「さて番外編第四位は……この人だあっ!!!」 多丸弟「佐々木さん!!さて、美食家アカデミーたちの反応は!?」 キョン「佐々木か……可愛いんだけどなあ……なんかもうひとつ」 古泉「んふ、そうですね……非常に魅力的なんですがね」 国木田「やっぱり男性だけに僕っ娘ってキャラはいいんだけど……なんだか無理してる感じがあるよね。無理してまで個性を作っちゃいけないよ」 谷口「ああ……それに言っちゃ悪いが胸が小せえな。かなり可愛いけど」 新川「さて、気になる得点は!?」 キョン「8点です」 古泉「8点です」 谷口「8点です」 国木田「6点です」 合計30点 森「本編と同じく大波乱!!でも一発目にして30点の大台を突破したぞ!」 新川「非常にレベルの高い番外編!!続いては第三位!!選ばれたのは……」 多丸弟「周防九曜だあっ!!さあ、美食家アカデミーたちはどのような感想を抱いたのか!?」 キョン「なんだかんだ言っても九曜も可愛いよな、結構」 古泉「そうですね。彼女には彼女の魅力が多大にあります」 キョン「実は、俺踏切で襲われてアイツが微笑んだとき『耐えられたのは俺でこそだ』とか偉そうな事いってたけど正直昇天するかと思ったよ」 古泉「んふ。それは興味深い。またいつか詳しくきかせていただくといたしましょう」 谷口「す、周防さん……」 国木田「大丈夫、谷口?顔、酷い事になってるよ」 谷口「……ほっといてくれ」 新川「さて、気になる点数は!?」 キョン「9点です」 古泉「9点です」 谷口「6点です」 国木田「8点です」 合計32点 森「どうやら谷口くんはいきなり振られたのが相当ショックだったみたいだぞ!」 多丸兄「さあ番外編第二位は……この人!!」 藤原「渡橋泰水!!さて、気になる美食家アカデミーたちの反応は……?」 キョン「ヤスミか……可愛かったなあ」 古泉「ええ……もう二度と会えないのが残念でなりません」 キョン「……なあ、古泉よ」 古泉「なんですか?」 キョン「どうせ幻だったんなら……一回ぐらいやってても誰にも気付かれなかったよなあ……勿論警察にも」 古泉「おやおや……まさかこのような事で貴方と考えが一致するとは思いもしませんでしたよ」 キョン「……やっぱりお前とは親友だ」 谷口「可愛いなぁ……うん。可愛い。でもちょっとムネが小さいか?」 国木田「死になよ谷口。うん、でも涼宮さんが言ってたんだけど彼女って中学生なんだって。だから胸が小さいのは当然じゃないのかなあ」 谷口「JCだって…… み な ぎ っ て き た ぜ ! ! !」 国木田「ほんと帰りなよ」 新川「さて、気になる点数は!?」 キョン「9点です」 古泉「10点です」 谷口「8点です」 国木田「8点です」 合計35点 森「遂に古泉から満点が出たぞ!」 藤原「さあ!!残る第一位はこの人!!橘京子だぁっ!!!」 多丸兄「さて、美食家アカデミーたちの感想は!?」 キョン「おうふ……いやはや、朝比奈さん誘拐事件の犯人とはいえ……可愛いよなぁ」 古泉「この純真無垢な笑顔は……敵対組織ながら、かなり来るものがあります。そして仕事時にする子悪魔的笑みもまてbeautifulですぞ」 谷口「可愛いなあ……うん、このぽやーっとした感じがなんとも」 国木田「なんだか天然っぽい子だね。それもこの笑顔は作った天然じゃなくて真の天然だ。いまどき珍しい子だと思うよ」 新川「さて!!番外編第一位の点数は!?」 キョン「9点です」 古泉「9点です」 谷口「9点です」 国木田「10点です」 合計37点 森「惜しくも40点には届かなかったものの、本日最高得点をマークしたぞ!」 藤原「さて、CMの後は遂に本編ベスト3の発表だ!!」 ~この番組は●<マッガーレ印の機関でお送りします~ CM中 キョン「いやー……九曜に橘。そしてヤスミに佐々木……前回の事件の女性陣は実に素晴らしい!!」 古泉「全くです。いやはや、橘さんに至ってはあの事後思わずメールアドレスと電話番号を聞き出してしまったくらいですから」ハナタカダカー キョン「古泉……威張ってるつもりかもしれんが、俺だって橘のメールアドレスくらい持ってるぜ。そしてお前のとは文字列が違う……これがどういう意味だか分かるか?」 古泉「いえ……」 キョン「古泉。俺のとお前のと、ドメインを見比べてみろ」 古泉「はいはい……貴方のは……codomo.ne.jp……僕のは……orz」 キョン「そいつはサブアドだ」 古泉「ちくしょう」 ~ここからは世界の明日を担う機関の提供でお送りします~ 新川「さて!!遂に本家第三位の発表だ!!第三位は……この人!!」 藤原「長門有希だぁっ!!」 長門『……不服』ガンガン 朝倉『ちょ、長門さん、落ち着いて』 長門『黙れまゆりん』 藤原「さあ!美食家アカデミーたちの反応は!?」 キョン「長門か……正直、消失世界での長門の微笑み、それに帰ってきた後のありがとうはかなり俺の胸にくるものがあったな」 谷口「一年の最初こそ俺的美的ランクA-に留まっていたが……キョンたちと一緒にいるようになってからは雰囲気も柔らかくなったし、普通にAAランクくらいなら上げれるレベルになってきてるぜ」 国木田「そうだね……うん、谷口の言うとおり、かなり印象が柔らかくなったと思うな。今までは少し近寄り難かったんだけど……最近は接点こそ無いにしろ、接点さえあればかなりフレンドリーになることが出来ると思う」 藤原「ここまではかなりの好評価だ……しかし、ここにきてあの男が牙をむく!!」 古泉「あのー、確かに最近……特にこの12月から春にかけてかなり近寄りやすく、人間らしくなってますが……その、彼女少し黒いような印象を受けますね。なんだか自分というものを確立して、自信が出てきたのは結構だと思うんですが……少しそれを前面に出しすぎかなといった印象を受けますね」 藤原「ここまで同調同調を繰り返し、あまり自分の意見を出さなかった古泉がまさかのダメ出し!!これを受けて女性陣は!?」 長門『パーソナルネーム「ガチホモ」の情報連結の解除を申請』 朝倉『長門さん落ち着いて……ほら!!そんなことするから阿部高和さんがいなくなっちゃったじゃない!!』 長門『うかつ』 喜緑『うふふ、偉そうなことを言っていたわりには張り合いの無い順位ですね』 長門『たった一番とはいえわたしはあなたの上。あなたにわたしを皮肉る資格は無いものと思われる』 喜緑『おや、皮肉に聞こえましたか?そんなつもりはさらさら無かったんですけど』 森「皮肉というよりは、ただの悪口だぞ!」 藤原「さて、気になる得点は!?」 キョン「9点です」 古泉「8点です」 谷口「9点です」 国木田「9点です」 合計35点 長門『あなたより4点も上』ドヤアアアアアアアアアアアアア 喜緑『くっ……』ギリッ 鶴屋『有希っこすごいねっ!!』 長門『まだ出ていないあなたが言っても嫌味にしかきこえない』 ハルヒ『それにしてもSOS団の女性陣がこんな順位までなんて……鍛えなおしよ!!』 みくる『六位が何言っても説得力ないですよう』 ハルヒ『みくるちゃん!?』 みくる『ひえー!禁則事項ですぅ!!』 阪中(わたしなんてもう面目丸つぶれなのね) 森「なんだか知らないけど殺伐としているぞ!」 藤原「さて第二位発表の前にスタジオ予想だ!!」 森「朝倉涼子と鶴屋さんのどっちが一位か、スタジオで決めて欲しいぞ!」 佐々木「ふむ……とりあえず藤原くん、こちらにもどっておいで」 藤原「ふんっ、禁則事項だ」 橘「意味が分からないのです!」 九曜「――――チーム――――佐々木は――――橘京子と―――――佐々木某――――――チーム――――藤原は――――わたしと――――――シスコン未来人――――――――」 佐々木「九曜さん説明ありがとう。ふむ……僕の順位が最下位だったのは後でキョンにじっくり訊いてみるとして……やっぱり勝つのは鶴屋お嬢さんではないかな?」 橘「きっとそうなのです!!わたしに亀さんくれたのです!!」 佐々木「橘さん……言っては悪いが、そのう……なんだかアホの子になってないかな?」 橘「気のせいなのです!!天才の指輪も持ってるのです!!雑誌で売ってたのです!!」 佐々木(うわぁ……真性のアホだこいつ) 藤原「ふん、僕は癪だがあのTFEIに賭けてやろう」 九曜「―――どう――――して――?」 藤原「ふんっ、僕は太ももが好きだからd………あ」 佐々木「…………」 橘「…………」 九曜「…………」 藤原「いっそ殺せよ」 佐々木チーム……鶴屋さん 藤原チーム……朝倉 新川「さて、どちらの予想が正しいのか!?」 藤原「運命の瞬間!!第二位は……この人だ!!」 多丸弟「鶴屋さん!!!さて、美食家アカデミーは、どのようなジャッジを下したのか!?」 キョン「おお……鶴屋さんか……この人は正真正銘の天才だ……!!そして何よりもお美しい……」 古泉「んふ。まさかこれほどまでとは……いやはや、鶴屋家もあと50年、いや70年は安泰ですね」 谷口「いや、素晴らしい。マジですごい。それしか言い表す言葉がねえな」 国木田「流石、僕の進路……いや、人生を変えた人だよ」 多丸兄「美食家アカデミーのこの高評価!!女性陣の反応は!?」 鶴屋『みんな……こんな風に思っていてくれてたなんて……お姉さん感激だよっ!!』 みくる『すごいですぅ鶴屋さん』 ハルヒ『流石はわがSOS団の名誉顧問ね!!ううん、貴女には名誉顧問なんて肩書きは生ぬるいわ!!永世最高名誉顧問に任命します!!』 鶴屋『ハルにゃん、ありがとっ!!』 長門『』シュッシュッ 朝倉『どうしたの、長門さん?』 長門『次に呼ばれる不届き者を抹殺するための特訓。まさか情報統合思念体はそのような不届き者は抱え込んでいないと思われるが、例え抱え込んでいたとしても大丈夫。その場でスタッフがおいしくいただきました』 朝倉『ぴいっ!』 森「やっぱり恐ろしいぞ!」 藤原「さて気になる点数は……これだ!!」 キョン「10点です」 古泉「10点です」 谷口「10点です」 国木田「9点です」 合計39点 新川「一見完璧を思われた高評価に国木田氏が待ったをかけた!!その理由は!?」 キョン「国木田……?どうしてお前が9点なんだ?」 国木田「違うんだよキョン……確かにあの人は天才だ。でもね……まだ高みに昇る事ができる天才なんだ」 国木田「今彼女は天才の中の頂上にいるんだ。でも、まだだ。あの人ならまだそこから新しい頂上を積み上げて作っていくことができるんだ……そして、頂上の頂上まであの人が行き着いたとき……そのときに僕は10点を付けたいんだ」 谷口「国木田……」 古泉「国木田くん……」 キョン「ものさしが……違うんだな」 国木田「……そういうこと」 鶴屋『決めた。わたし国木田くんと結婚するよっ』 みくる『ちょ、そんないきなり』 鶴屋『わはは、冗談さっ……でも、そんな風にみてくれてる人がいるって、凄く大切なことだよねっ!!』 朝倉(どうしよう、なんか……とてもじゃないけど言い表せないエラーがどんどん湧き出てきてる) 森「あまり評価が高すぎるのも考え物だぞ!」 新川「そして遂に第一位!!朝倉涼子さんだ!!!」 藤原「さて、美食家アカデミーたちの反応は?」 キョン「なんてこった…………」 古泉「この眉毛………そしてこの眉毛……」 谷口「そしてこの健康的な太もも……」 国木田「鶴屋さんとはまた違う美しさがここにある……」 キョン「……なんだろう、二回刺されたのがなんだか光栄に思えてきた」 古泉「機関の見解は大きく間違っていました……彼女こそ、真の神です。それ以外にありえません」 谷口「AAランク+なんてヤワなもんじゃねえ……こいつは、いや、このお方はAAAAAランクだ!!」 国木田「うん!非のうちどころがないよ!」 藤原「さて、点数は!!」 キョン「10点です」 古泉「10点です」 谷口「10点です」 国木田「10点です」 合計40点 新川「満点だああああ!!!本日最初の満点に女性陣の反応は!?」 ハルヒ『朝倉!!アンタ凄いわ!!本日をもってアンタをSOS団副団長に任命します!!』 朝倉『あ、ありがとう!……あれ?でも古泉くんは?』 ハルヒ『ああ……古泉くんは 13の時点でキョンの前任ポストの雑用係に降格よ』 みくる『前任……?あのぅ、キョンくんは?』 ハルヒ『奴隷に降格』 朝倉(ひどっ) 朝倉『……ていうか長門さん』 長門『なに』 朝倉『どさくさに紛れて眉毛剃ろうとするの止めてちょうだい』 長門『そう』 鶴屋『まあ何はともあれおめでとう!!』 一同『おめでとう!!(なのね)』 朝倉『うう……ありがとう!!』グスッ 森「というわけで、ランキングは以上のものとなったぞ!」 機関予想 結果 一位 涼宮ハルヒ |一位 朝倉涼子 ↑ | 二位 朝比奈みくる |二位 鶴屋さん ↑ | 三位 長門有希 |三位 長門有希 → | 四位 鶴屋さん |四位 喜緑江美里 ↑ | 五位 喜緑江美里 |五位 朝比奈みくる ↓ | 六位 朝倉涼子 |六位 涼宮ハルヒ ↓ | 七位 阪中 |七位 阪中 → シャミセン「というわけで、藤原チームの勝利ー!!!」 藤原「ふんっ当然だ」 佐々木「そういえば藤原君司会だからそりゃ当たるよね」 橘「ズルなのです!!」 九曜「―――――――ズル」 藤原「俺、泣いてもいいかな?」 森「次回の涼宮ハルヒのお願い!ランキングは!」 新川「一番強い組織をしりたーい!!」 藤原「というわけで、皆さま、また来週!!」 ~この番組は明日を守る●<ふんもっふ! 機関の提供でお送りしました~ <後日談> ~数日後~ ハルヒ「キョン!!これ焼却炉に捨ててきて!!」 キョン「へいへいただいま」 長門「古泉一樹」 古泉「はい、なんでしょう」 長門「このへんの空気が悪い。恐らく肩が凝っているせいだと思われる。早くこの辺の空気の肩を揉むことを推奨……いや、命令する」 古泉「いや……空気に肩はないかと」 長門「逆らう気?」 古泉「めっそうもございません閣下」モミモミ 長門「……なぜ空中で手を動かしているの?あなたのような変態は即刻立ち去るべき」 古泉「……了解しました」 朝倉「なるほど。こうやってお茶っ葉を蒸らすのね」 みくる「そうですよ……うまくなってきましたね」 ~部室の外~ 古泉「……しくしく」 キョン「お、どうしたんだ古泉……またアレか?」 古泉「そうですう……めそめそ」 キョン「そうか……それはそうと、国木田と鶴屋さん、付き合い始めたらしいな」 古泉「そうなんですか?それはおめでたいですね」 キョン「……お互い親友どうし、この辛い状況を乗り切っていこうぜ」 古泉「………はい!!」 完
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3489.html
7.回帰 俺にできることはやった。後はハルヒの目覚めを待つだけだ。 大丈夫だ、ハルヒはきっと目覚めてもハルヒのままだ。 俺は自分にそう言い聞かせていた。 過ぎてしまった予定時刻。 俺は間に合わなかったのか。 苦々しい気持ちでハルヒの病院に向かった。 病院に着くと、朝比奈さんが出迎えてくれた。 「涼宮さんはまだ目が覚めないんです……」 うつむき加減で朝比奈さんが言った。 俺はますます不安になった。俺は間違っていたのか? その答えを考えるのはあまりにも苦しい。 「長門は大丈夫なんですか?」 もう一つの懸案事項を聞いてみた。 「そ、それが、一旦目が覚めたんですけど、『統合思念体による点検』 と言ってまた寝ちゃったんです」 点検ね。長門の今回のダメージが俺にわかるわけもないが、TFEIすべてを奪われた親玉としては、何かしらのメンテナンスが必要ということか。 まあ、それでも長門はもう大丈夫なんだろう。 「涼宮さんについて、長門さんは何かおっしゃってましたか?」 古泉が、俺が後回しにしていたことをズバリ聞いてきた。 返事を聞くのが怖い。ところが── 「それが、長門さんは一瞬だけ起きて、直ぐに寝ちゃったんです。 だからわたしにもわかりません……」 まだ答えは保留のままだった。 ハルヒの病室前に着いても、俺はまだためらっていた。 ハルヒが目覚めて、うつろな目で俺を見ていたら。 その目の中に、ハルヒを見つけられなかったら。 俺はどうすりゃいい? 「入らないんですか」 俺の後から歩いてきた古泉が、ドアの前で躊躇している俺に声をかけた。 振り向くと、真顔で俺を見つめていた。 その目の言わんとすることがわかってしまうのが癪にさわる。 『あなたの選択の結果を受け止めてください』 古泉はそう言っている。 俺は大きく息を吸い込むと、ドアを開いた。 ハルヒは変わらない顔で、規則正しい呼吸を続けて寝ていた。 期限はとっくに過ぎている。何故目覚めない? 古泉も真剣な面持ちでハルヒを見つめている。 この1週間、こいつの顔からはニヤケ面が消えていることの方が多かった。 こいつも辛かったんだろう。 「涼宮さん……」 朝比奈さんが呟いた。 俺たちは黙ってハルヒのそばに立っていた。 どれくらいの時間が経っただろう。 「すみません、機関の方に報告に行かなくてはなりません」 古泉が言った。 こんなときにか? 俺がなじるように言うと、古泉が顔をしかめた。 「すみません……僕もここから離れたくはないんです」 ああそうだな、わかってはいるんだ、副団長。 今回、機関とお前の協力がなければどうにもならなかったしな。 新川さんと森さん、多丸さんたちにもよろしく言っといてくれ。 「わかりました」 元の、とは言えないが、少しだけ笑みを浮かべて、古泉は出て行った。 「あの、わたしも長門さんのところへ行ってきますね」 何故か朝比奈さんも出て行った。 もしかしたら、朝比奈さんもハルヒの目覚めが怖いのかもしれない。 いや、間違いなく怖いだろう。 これだけ時間が経っているのに、まだ目が覚めないんだ。 俺も怖い。逃げ出したい。 だけどな。 「俺が逃げる訳には行かないんだよな」 ハルヒの頬に触れてみる。まだ、ちゃんと暖かかった。 そのままハルヒを見つめる。 こいつは大人しければ美少女なんだよな。まさにスリーピング・ビューティだ。 そこまで考えて俺は苦笑した。 これから俺がしようとしていることがあまりにもベタだったからだ。 まあ、誰もいないしな。深く考えるのはよそう。 俺は身をかがめて、ハルヒに口付けた。 これで目覚めるほど甘くはないだろう。どこのおとぎ話だ。 ところが、おとぎ話だったらしい。 ハルヒがゆっくりと──目を開けた。 「ハルヒ!」 思わず声をかける。ハルヒはきょとんとした目で俺を見つめていた。 その顔を見て、俺はますます不安になる。 「俺のことがわかるか? ……ハルヒ」 おそるおそる聞いてみた。 それを聞いて、ハルヒはガバッと跳ね起きると、俺を睨み付けて言った。 「何言ってるのよバカキョン! あんたあたしのことバカに……えっ!?」 最後まで聞かず、俺はハルヒを抱きしめていた。 「ちょ、ちょっと、あんた何してんのよ! 離しなさい! 離せ!!」 俺の腕の中でもがくハルヒを無視して、腕に力を込める。 「誰が離すかよ、バカ野郎!!!」 ああそうだ、誰が離してなんかやるもんか。 もうこんな思いはゴメンだ。 2度と離してやらねぇからな。 「ちょっと、キョン……泣いてるの?」 うるせぇ、泣いてなんかいねえよ。目にゴミが入っただけだ。 「バカ」 ハルヒはそれ以上何も言わず、俺の背中に手を回して抱き返してきた。 やっと帰ってきたな、ハルヒ。 長かった。たった1週間とは思えないほど。 俺が落ち着いてから、ハルヒは俺に色々質問をしてきた。 本当のことを言うわけにも行かず、かといって答えを用意していない俺は、四苦八苦しながらそれに答えていた。 ハルヒが階段から落ちたいう話はハルヒの家族にしてあるので、今更変える訳にはいかない。 俺はその線でごり押しした。 裏山探検隊もUFOもどきの隕石も全部夢オチだ。 1週間も寝てたんだから、それもアリだろ。 1年前の俺だって、階段から落ちた記憶がないことになってるからな。 実際に階段から落ちたりしていないんだが。 「あんたの二の舞を演じるとは、一生の不覚だわ」 ハルヒが顔をしかめて言った。 「だけど、あれが夢だとは思えないのよ。あんたと隕石を探しに行ったのは」 そりゃ、ほんとにあったことだからな。しかし── 「俺はそんなことしとらん!」 言い張るしかない。泥で汚れた制服も何とか綺麗にしたしな。 「第一そんな大ニュース、新聞もテレビも放っておく訳がないだろう。 なのにどこも報道してないんだぜ」 そう、実際、俺たち以外誰もあの隕石に気付いていないようなのだ。 これは後で長門に聞いてみよう。何となく答えはわかっているのだが。 ハルヒは渋々納得したようだった。 「ずっと夢を見ていたみたいね。やけに覚えてるけど」 ハルヒは残念そうに呟いた。 「長い夢だったわ──途中から悪夢よ。凄く苦しくて」 うんざりした表情で続ける。 そうだっただろうな。あれだけ閉鎖空間を生み出したくらいの苦しみだ。 「でも最後にキョンが出てきて──そうだ、キョン!」 急に生き生きとした顔になって、俺を見た。 「あんた、あたしに言うことがあるでしょ!」 やっぱり覚えてやがったな。当たり前か。 いや、別に俺も逃げるつもりはないんだが、いざとなるとやっぱり照れくさい。 ここまで来て何て言い訳しようかとチラッと考えた俺は、やっぱりへたれなんだろう。 「ああ、あるさ」 意を決して俺は言った。でも素直には言ってやらない。 「でも、何でお前がそれを知ってるんだ?」 「だって、あんた夢の中で言ったじゃない」 「お前の夢の中のことまで俺は知らん」 そう言うと、ハルヒは暗い表情になった。 しまった、ちょっと意地悪だったか。 「夢の中の俺が何を言ったかは知らんがな、俺は俺で前から言いたかったことがあるんだ」 悪い。心の中で謝りながら俺は続けた。 「ハルヒ、俺はお前が好──」 言いかけたとき、ドアがノックされた。誰だよ! 間の悪い! ハルヒもアヒル口になっている。 ドアが開いて入ってきたのは、朝比奈さんと長門だった。 「みくるちゃん! 有希!」ハルヒが笑顔で声をかけた。 「す、す、涼宮さぁぁぁぁぁん!!!!」 ハルヒが起きているのを見ると、朝比奈さんはハルヒに駆け寄って抱きつき、泣き出してしまった。 「バカね、みくるちゃん。あたしは大丈夫に決まってるでしょ!」 そう言いながら朝比奈さんを撫でているハルヒは嬉しそうだった。 ほんとにどっちが年上なんだかわからないね。 「長門、もう大丈夫なのか」 傍らにたたずんでいる長門に声をかける。 「大丈夫」 一言だけ返した長門は、ハルヒと朝比奈さんを見つめていた。 どこか眩しげに見えたのは、気のせいではないだろう。 やがて医者が来て、ハルヒは診察を受けることになり、診察室へと連れて行かれた。 結局俺は自分の思いを伝えられずにいる。 『あたしをこれ以上待たせるんじゃないわよ!』 閉鎖空間でのハルヒの言葉を思い出し、苦笑した。 やれやれ、このままじゃ罰金かな。 しばらくすると古泉が現れた。機関への報告とやらは終わったらしい。 「機関の人間は、総じてあなたに感謝しています」 ここのところ忘れていたようなニヤニヤ顔で俺に言ってきた。 「結局、機関に取っても最良の結果が得られました。あなたに判断を委ねたのは正解だったようです」 「勘弁してくれ」 俺は顔をしかめた。俺にとっては世界も機関もどうでも良かったんだよ。 ただ、ハルヒを助けたかっただけだ。 いや、助けるなんて気持ちより、俺がハルヒに会いたかっただけだ。 「自分の意志で動いたのに機関の思惑に乗ったと思うと面白くねーよ」 世界の行く末を俺1人に押しつけやがって。 どうにかなっちまったら俺に責任をなすりつけるつもりだったのか? 「まさか、そこまであなたに押しつけるつもりはありませんでした。 あなたに委ねると判断した時点で、機関にも大きな責任があります」 結果論では何とでも言えるよな。まあ、今回は機関にもお前にも大いに助けられたから不問としてやるよ。 「ともあれ、結局涼宮さんを根本から何とかできるのはあなただけなんです。 今回も、涼宮さんの力を自覚させることなく発揮させることに成功した。 あなたの他に誰も、そんなことができる人間はいません」 ああ、脳の容量いっぱいまで使って考えたぜ。『ジョン・スミス』以外でハルヒに力を使わせるなんてな。 正直もうゴメンだ。今後、シナリオライターはお前に任せる。 「承知しました」 そう言う古泉は、最後まで0円スマイルを顔に貼り付けたままだった。 いつもの古泉に戻ったな。 「ほんとに良かったです……」 朝比奈さんにも笑顔が戻った。 「でも、わたし、結局何もできなかった……」 少し俯いて溜息をつく。そんなお姿も絵になるお人だ。 俺は朝比奈さん(大)の言葉をまた思い出した。 『この時間のわたしにできることはないの』 俺はこの朝比奈さんに何も言わなかったのか? 言わずにはいれないじゃないか。 今度朝比奈さん(大)に会ったら絶対に聞いてやる。 覚えてないなんて言われたら結構ショックだぞ。 「何を言ってるんですか、今回の一番の敢闘賞は朝比奈さんですよ!」 俺は言った。殊勲賞でもいいくらいだ。いや、殊勲賞は長門か? 「ほえ?」 驚いた顔して俺を見る朝比奈さんに、俺は続けた。 「今朝、俺が橘に色々言われて気持ちが揺らいでいたのはわかってるんでしょう。 あのとき朝比奈さんがああ言ってくれなかったら、俺は橘の戯言に乗ったかもしれない」 絶望的な気分だったからな。橘にすらすがりたいくらいに。 そう、朝比奈さんの言葉と橘の表情。 それが、俺を正気に戻してくれた。 そう考えると、橘にも技能賞をやってもいいのかね。ちょっと賞なんて惜しい気もするが。 俺が与える資格もない三賞を誰にやるか考えを巡らせていると、それまで黙っていた長門が言った。 「わたしもあなたに助けられた。礼を言いたい。ありがとう」 朝比奈さんをじっと見つめている。 「差し入れ、美味しかった」 朝比奈さんは何故か頬を染めて俯いた。まだ長門に苦手意識があるのか、他の理由かはわからない。 しかし、何か勘違いしそうなシーンだな。 「何もできなかったのは私」 長門は続けて言った。相変わらずの無表情だが、俺には悔しそうに見えた。 「必要なときに機能停止。不覚」 「お前のせいじゃないさ」 俺は本心から言った。このSOS団一の万能選手は、いつも1人で解決しようとするからな。 「そもそも、今回はお前がいなきゃ何が起こったのかすらわからなかったんだぜ」 あの、隕石に触れたハルヒが倒れたとき、瞬時に来てくれた長門をどれだけ頼もしく思ったか。 「その後も、24時間ハルヒについていたのは長門だけだ。 ハルヒだって一番感謝してるさ」 好きなはずの本も読まず、必要がないとはいえ睡眠も取らずにハルヒのそばにいたんだ。 他の誰にもできることじゃないだろ。 「……ありがとう」 長門はそう呟いた。 「今回の黒幕は、やっぱり例の……天蓋領域だっけか? あいつなのか?」 「そう」 今回の騒動を説明してくれた長門のややこしい言葉を俺の頭でわかる範囲で言うとこうだ。 どうやらハルヒの能力を佐々木に移すことが目的だったらしい。 それが橘の機関と協力したのか、独自に考えたのかはわからない。 橘の機関は天蓋領域の決定を受けて独自に動いた可能性もある。 ところが、何故かハルヒの能力を佐々木に移すには、俺の協力が必要らしい。 俺が素直にうんと言うわけもないので、一計を案じたと言うことだ。 あの隕石が俺たち以外に発見されなかったのも無理もない。 最初からそう情報操作されていた。 「近くに周防九曜がいたはず」 長門は言ったが、俺は見た覚えがない。 何で佐々木に能力を移そうと思ったのかは情報統合思念体にもはっきりとはわからないらしい。 「推測はできる」 要は佐々木なら意識的に能力を発揮できるようになるということだ。 佐々木に力を移した上で協力してもらうつもりなのではないか、長門はそんな感じのことを言った。 そもそも天蓋領域がハルヒに目をつけた理由が、情報統合思念体と同じとは限らないそうだからややこしい。 俺なんかには理解できるわけもない世界だ。 「そう言えば周防は結局何をしていたんだ?」 機関の目を逃れるのは簡単だろうが、それにしても最初から最後まで現れなかったが。 「機関を始めとする対抗勢力の妨害。それと、照準」 妨害はわかるんだが、照準てなんだよ? 全く意味がわからん。 また長門はよくわからない用語で説明してくれた。 情報統合思念体のような存在は、地球上の一個人や一インターフェースをいちいち把握できないそうだ。 把握できるなら、ハルヒを監視するための長門のようなインターフェースも要らないと言うことになる。 だが、今回、長門たちの機能を止めたのは、周防ではなく天蓋領域そのものだった。 天蓋領域にインターフェースの存在場所などを特定させるために、周防は暗躍していたらしい。 まさに『照準』だ。 情報統合思念体もこの動きを察知していたそうだが、止められなかったらしい。 「概念が理解不能のとき、止める側より行動する側の方が有利」 何しようとするかわからないから、後手に回る。 まさに今回の事件そのものだ。 しかし、今回の事件が起こっている間、広い宇宙で激しい宇宙戦争が行われていたのか。 なんてこったい。 あまりにも壮大すぎて想像もつかないぜ。 しばらく宇宙情報戦争について思いめぐらせていたが、もう一つの疑問を思い出して聞いてみた。 「何でハルヒは直ぐに目覚めなかったんだ?」 長門の予告通りなら、どっちにしても13時前後には目が覚めたはずなんだが。 「精神負荷が大きすぎたためと思われる」 どういうことだ? 「1週間、涼宮ハルヒの精神は休まることはなかった。休息が必要」 ってことは? 「彼女は睡眠中だった」 そういうオチかいっ! どれだけ心配したと思ってるんだよ! ……て、まさか起きたとき俺がしたことに気付いてないだろうな。 「それではそろそろ失礼します」 古泉が言った。 おい、お前はまだハルヒに会ってないだろう。 「明日会えますよ。それより、あなたがしなくてはならないことがあるでしょう。 お邪魔はしたくないのでね」 そう言えばお前は閉鎖空間でどこにいて、どこまで聞いてたんだ? 「さて、どうでしたっけ」 とぼけるんじゃねぇぞ。 俺の問いかけもむなしく、にこやかに手を振って出て行きやがった。 後で覚えてろよ。 「わたしも帰りますね」 朝比奈さんも言った。 「がんばってくださいね、キョンくん」 何を頑張れというんですか、朝比奈さん。というか、あなたは何をご存じなんですか。 聞こうと思ったが怖くて聞けなかった。 朝比奈さん(大)ならともかく、何も知らないはずなんじゃ? 「見ていればわかる」 長門、お前もモノローグを読むな。いや、お前なら普通に読みそうだが。 「邪魔者は退散」 長門と朝比奈さんは連れだって部屋を出て行こうとした。 「おい、邪魔者って何だよ!」 俺の問いには答えず、長門は振り返ると言った。 「ごゆっくり」 何かまた性格変わってないか? 長門。 宇宙人と未来人は何だかんだ言って仲良くなっている気がする。 その割には、朝比奈さん(大)になっても長門が苦手なようだ。 これからまだ何かあるのかね。 「やれやれ」 呟いて、そばにあった椅子を引き寄せた。 ここで俺まで帰る訳にいかないよな。 ハルヒが怒りを通り越してまた不安になりかねない。 「疲れたな」 まったく。 朝から橘に悩まされ機関の本部に行き、閉鎖空間で自由落下しかけ、空中浮遊まで体験した。 いくらハルヒに振り回されるのに慣れた俺だって、さすがにキツイぜ。 さて、これからどうするか。 古泉に言われなくてもやり残したことがあるのはわかってる。 さっき朝比奈さんと長門に邪魔されたからな。 このまま誤魔化してしまうことは、ハルヒが許さないだろう。いや、俺が俺を許せなくなるね。 しかし、さっきより照れくさいぞ。 さっきだって恥ずかしさを乗り越えて勢いで言おうとして邪魔されたんだ、それをもう一度やらなきゃいかんのか。 「ハルヒが好きだ」 うわ、試しにとはいえ、あらためて口に出してみるとすげぇ恥ずかしい。 いっそ閉鎖空間で言っちまうべきだったか。 あのときはハイテンションだったからな。勢いで言えただろう。 そのとき──『お約束』と言えばいいのだろうが──ドアが開いた。 やけに静かに開いたので、長門辺りが戻ってきたのかと思ったが、やはりというか何というか、とにかくハルヒだった。 えーと、何でそんな真っ赤になってるんだよ。何て聞くまでもないな。 間違いない。聞こえてやがった。 「あんたねぇ……」 赤い顔をして、俺から視線を外したまま入ってきたハルヒは、そのまま文句を言い始めた。 「何誰もいないところで恥ずかしいこと言ってんのよ」 誰もいないから言ったんだよ。とは言えないが。 それより俺の告白は恥ずかしいことかよ。ああ、恥ずかしいよな。てか恥ずかしい。 「悪かったな」 もうそれしか言えん。 「だいたい、そういうことは本人に面と向かって言いなさいよ……」 何だかいつもの勢いがないが、それより面と向かってと言っているハルヒが顔を背けているんだが。 「そいつはすまんかった。だったらお前もこっち向け」 どうせさっき言いかけたんだ。今も独り言を聞かれちまった。今度こそ、ちゃんと言えるだろう。 だが、ハルヒは相変わらず顔を背けたままだ。 何か腹立ってきた。人に覚悟を決めさせておいてなんだそれは。 俺は両手でハルヒの顔を無理矢理俺の方に向かせた。 「ちょっと、何すん……!!!」 ハルヒは抗議の声を上げたが、俺は無視して唇をふさいだ。 「……好きだ」 唇をわずかに離して一言伝えると、再び唇を重ねる。 ハルヒは俺にしがみついてきた。 何だ、簡単なことだったんじゃないか。 今まで俺は何をしていたんだろうね。 誤魔化してきた気持ちが、一気に湧き上がってくる。 ──長いこと待たせて悪かったな。 不安にさせて悪かったな。 罰金、払うからな。 だから、もう離さないでいいか。 もう、離れないでいてくれるか。 やがて唇を離した俺に、ハルヒは微笑んで言ってくれた。 「あたしもあんたが好きよ、キョン……」 ──こうして、俺の長い長い1週間は、ようやく終わりを告げた。 エピローグへ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1828.html
執事の森さん「本日は誠に申し訳ありませんでした。主人が一度小説みたいなことをやってみたいと申しましたので・・・・」 朝比奈「本当にひどいです!」 森さん「おわびと言っては何ですが、お土産をご用意致しました。」 ハルヒ「ありがと!」 朝比奈「すいませんわざわざ・・・・・」 古泉「僕にはないのですか?」 森さん「坊っちゃんには無し!」 ハルヒ「キョン、あんた何貰ったの?」 キョン「あ、綾波レイのプラグスーツだ・・・」 古泉「キョン君には似合わないもの貰ったね~」 キョン「こんなものを渡す方なんてどうかしてるのか?」 そういやこいつだけお土産もらえなかったんだな・・・、 キョン「ほれ、やるよ」 ハルヒ「えっ!いいの?」 キョン「ああ、古泉には似合わないしな、」 古泉「わかってるじゃないですか、僕なんで女に産まれなかったのかって思う時がありますよ」 その時、俺は知らなかった。 いつまでも続くと思っていたこの日々が 突然、終わりを告げる事を キョン「あ、古泉、」 古泉?「はい、そうですが・・・、あなたは?」 キョン「何言ってるんだ?いつもキョン君って言ってるじゃないか」 古泉?「キョン?僕の知り合いにそんな変な名前の人はいません。」 キョン「おまえどうしちまったんだ?」 古泉?「肩を掴まないでください・・・」 古泉一樹「一喜(かずき)~お前歩くの速いよ~」 キョン「あれ?古泉が二人!?」 古泉一樹「キョン君!?」 古泉?「兄さん!この人知り合いなの?」 キョン「え!え?え~」 古泉一樹「僕には双子の弟がいるんですよ、言いませんでしたか?」 キョン「なんだってー」 古泉「あれ、今日は朝比奈さんだけですか?」 朝比奈「はい、あ、お茶飲みますか?」 古泉「お願いします。ところでその服は?」 朝比奈「キョン君がハルヒさんにあげた服です。似合ってますか?」 古泉「ええ・・・・・・」 古泉弟「痛い!」 キョン「あ、古泉弟だ。 おーい、どうしたんだ?」 古泉弟「ちょっと転んでしまいまして・・・」 キョン「あーあ、血がでてるぞ、ほれ」 古泉弟(ドキン)「あ、ありがとう・・・ございます・・・」 キョン「気をつけろよー」 古泉弟「は、はい・・・」 翌日、クラスが騒がしかった キョン「谷口、なんかあったのか?」 谷口「キョン・・・・・・、落ち着いて聞いてくれ・・・・」 谷口「朝比奈先輩が、殺された」 何を言ってるんだこいつは、4月馬鹿にはまだはやいぞ しかもそんな不謹慎なネタだなんて、谷口もたいしたことな・・・・ まて、このクラスの騒ぎ用、 まさかな 何故か今日、全校集会があった。 テーマは『朝比奈みくる』 まさか、そんな、全校生徒で4月馬鹿か? 気付くと俺は泣いていた。 キョン「長門、朝比奈さんを殺したのは誰だ?わかってるんだろ!?」 長門「・・・・・・」 何か小さな声が聞こえた、わかっていないのか? 長門「・・・・・こいずみ・・・・いつき・・・・・・・」 ???????????? キョン「長門、もう一度言ってくれないか?」 長門「・・・古泉一樹」 は?なんでそいつの名前がでてくるんだ? 長門まで4月馬鹿か? 長門「冗談ではない、真実」 キョン「なんだってーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」 キョン「あの野郎!あの野郎!ぶち殺してやる!」 俺は、古泉の家に行った。 キョン「古泉!古泉!古泉!」 古泉「待ってたよ、上がって」 何故か一瞬、殺意が消えた。 キョン「短刀直入に言う、朝比奈さんを殺したのはお前だな、」 古泉「ええ・・・・・・」 キョン「どうしてだ!なんで!そんなことを!」 古泉「あの時、ハルヒにプラグスーツをあげたでしょう。 僕は、欲しかったんだよ、 でもキョン君はハルヒにわたした、 しかも朝比奈が着ていた。許せないかった。」 キョン「そんな、簡単なことで・・・」 古泉「通報するのは後、ちょっと付いてきてくれないか?」 何故だろう、目の前にいるのは殺人者なのに、 ホイホイ付いていっていいのか? 地下だった、暗い、 そういや声が聞こえるな・・・・ 古泉弟「キョン君!」 キョン「古泉弟!何故牢屋の中に!?」 古泉一樹「あいつ、部屋でキョン君でオナニーしてたんだよ ああなって当然でしょ?」 キョン「古泉・・・・・・!」 牢屋に目を向けていたせいか背後の古泉のCQCに気付かな・・・・・・かっ・・・・・・ 気がつくと荷台に乗せられていた。 古泉は何故か裸だ・・・ キョン「古泉、何をする気だ」 古泉「ふふふ、何って、アナルギアですよ アナルに僕の股間のメタルギアを突っ込むんです」 キョン「や!やめろ!アナルだけは!」 古泉「ふふふ、いきますよ・・・」 こんなことで・・・くやしいっ・・・・・・ と今わの際に馬鹿な事考えていた、 あーあ、俺の人生も終わりか・・・・・・ と思っていた・・・が・・・ 外へ通じる扉から地なりがする、なんだ? 古泉「あーあ、時間切れですかね。よかったですね、あなたのアナルバージンは守られましたよ。 きっと長門あたりが警察でも呼んだのでしょう。自分が来たらいいのに・・・ あ、僕は逃げます。でも、今後もし僕に会っても、話しかけないでください。 それは、僕の屍にとりついた、阿部高和なんですから・・・・・・」 一方的にはなされた後、さっきの眠気が襲い、俺の・・意識は・・・・・・ そうか、古泉の豹変は俺のせいだったんだな、 古泉、お前の為にプラグスーツを買ってやったんだぜ お前のことだから照れて『いりません』とか言うんだろうけど 最後はきっと真っ赤になって受け取ってくれる 俺、恐かったんだ あの時、プラグスーツを渡したら、みんなからゲイだホモだって言われて、 いままでどうりに学校生活ができなくなるんじゃないかって・・・・・・ でも、今は違う ちゃんと、古泉に・・・・・・ だからっ! 窓から音がする。なんだ? 俺は下を覗いてみた キョン「古泉!!!」 古泉「へへへ・・・・・・」 キョン「うろついて大丈夫なのかよ」 古泉「ふふふ、」 古泉「いままで・・・・・ずっと我慢してきたけど・・・もう・・・ダメ・・・」 キョン「おい!どうしたんだよ!お」 古泉「おちんぽミルクでちゃいましゅううううう!!!!!」 ドピュ キョン「・・・・・・え?」 古泉「やった!やった! これで、僕の顔射したい人に、や――――っと出せたよぉ―――っ」 キョン「・・・・こい・・・ずみ・・・」 病院内 長門「・・・・・・」 ハルヒ「あ、雷電、」 雷電「すいませんね~今はちょっと取り込んでまして~」 ハルヒ「まぁいいわ、後で来るからね」 キョン「・・・おう」 キョン「俺は男だ、だから、 801本なんか持ってくるな!」 雷電「なんだ、てっきりキョンはゲイかと思ってたんだが・・・・・・」 キョン「で、なんの用だ?」 雷電「ああ、君に聞きたい事があって・・・ キョン、本当に昨日古泉に顔射されたのか?」 キョン「ああ、間違いない。」 雷電「本当に?」 キョン「本当だ」 雷電「・・・・・実は、その時、古泉はハッテン場で死んでいたんだ」 キョン「!!!」 雷電「死亡推定時刻はキョンが古泉の家から介抱されて3時間ほど後」 キョン「じゃあ、あの時の古泉は・・・・・」 雷電「この事件、アナルが動き過ぎたってことかな」 何が?誰が?まったく解らないな、この事件、 長門に聞いてみるか・・・・・ 今一瞬、ベッドの下に茶色の髪の毛が見えたな 古泉「キョン君、迎エニ来タヨ」 俺は心の底から願った。 童貞卒業は、ハルヒか長門がいい、と。 古泉「あの時アナルバージン残しておいてあげたでしょ―――――― 今度はダメ―――――あはははははははははははははははははははははははははは」 ひぐらしがなかないハルヒ 穴泣かし編 完
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3907.html
翌日の朝。俺は懐かしい早朝ハイキングコースを歩いて学校へと向かっていた。 とは言っても、向こうの世界じゃ毎日のように往復していたけどな。 北高に入り、下駄箱で靴を履き替えていると、 「おっ。キョンくん。おはようっさ。今日もめがっさ元気かい?」 「キョンくん、おはようございます」 鶴屋さんの元気な声と朝からエンジェル降臨・朝比奈さんの可憐なボイスが俺を出迎えてくれた。 何か向こうの世界じゃ何度も聞いていたのに、帰ってきたという実感があるだけで凄く懐かしい気分になるのはなぜだろう? 靴を履き替え終わった頃、長門が昇降口に入ってきた。 「よう、今日も元気か?」 「問題ない」 声をかけてやったが、やっぱり帰ってきたのは最低限の言葉だけだ。ただし、全身から発しているオーラを見る限り 今日の朝は気分はそこそこみたいだな。 階段を上がっている途中で、なぜか生徒会長と共にいる古泉に遭遇する。 「やあ、これはおはようございます――どうしました? 何かいつもと雰囲気がちょっと違うように見えますが」 「朝からお前と遭遇して、せっかくの良い気分がぶちこわしになっただけだ」 「これは手厳しい」 ふと、俺はあることを思い出し、古泉と生徒会長を交互に見渡して、 「とりあえずご苦労さんとだけ言っておく」 「はい?」 俺の台詞の意味がわからず、呆然とする古泉と生徒会長を尻目に俺は自分の教室へと向かった。 そして、教室に入ってみれば、ハルヒのしかめっ面が俺をお出迎えだ。 少しはこっちの気分を読んで欲しいぞ、全く。 「遅い! せっかく良いもの見つけたから、朝ご飯食べながら学校に走ってきたのに!」 「お前の都合でどうこう言われても困るぞ」 団長様のありがたい怒声を聞きつつ、俺は自分の席に座る。 見ればハルヒは机の上にチラシを沢山並べていた。どうやら何かの催しの案内らしいな。今度は何だ。 全米川下り選手権にでも丸太に乗って参加するつもりか? 「ほら見てよ、これって凄くおもしろそうじゃない? ついでにSOS団のアピールもバッチリだわ! これは――」 意気揚々と語り始めるハルヒ。俺はそれを耳から垂れ流しつつ、ちょっとした考え事に入る。 最初に言っておくが、これは昨日の夜家に帰って風呂に入りながら考えた俺の妄想だ。 俺はずっと向こう側の世界に行って、SOS団を作り上げるまで試行錯誤しまくってきたわけだが、 実際のところ不可解な点もたくさんあるのが実情だ。 特に情報統合思念体については明らかに矛盾している点がある。連中は長門によるハルヒの力の使用は二度あって、 一度はハルヒのリセットで隠蔽、もう一つは直前で阻止したようだったが、今俺が帰ってきた世界の長門の世界改変分が カウントされていないのはなぜだ? 最初に聞かされた話じゃ、ここの連中とあっちの連中も結局は同じもののはずだからな。 そう考えれば、俺の知る限り長門による力の行使は三回あったはず。これはあきらかに矛盾している。 じゃあ、実はハルヒの勘違いで、こことあっちの連中は実は別物と言う可能性はどうだろうか? 一応パラレルワールドみたいなものだし、 その分だけ情報統合思念体が存在していてもおかしくはない。が、それはそれで矛盾がある。見たところ同じような考えを持った 存在だったことを考えれば、この世界で長門が世界改変を実施したら、同じように長門の初期化、さらにハルヒの排除という 流れになるんじゃないだろうか。向こうの連中は過剰反応しただけで済ませるにはどうにも腑に落ちない。 まあ、なんだ。前置きが長くなったが言いたいことはこういうことだ。 俺が去った後にリセットされてやり直されている世界――それが今俺のいる世界なんじゃないかってね。 つまり俺はずっとここに至るまでの軌跡をずっと描き続けてきたってことだ。 情報統合思念体にも実は俺たちとは違うが時間の流れみたいなものがあって、あの交渉の結果、 この世界では長門の世界改変がスルーされた。約束通りに。 それだといろいろつじつまの合うことも多い。 ハルヒがどうして宇宙人(長門)・未来人(朝比奈さん)・超能力者(古泉)・異世界人(俺)がいることを望んでいたのか。 それは最初からSOS団を作るために、探していたんじゃないだろうか。だからこそ、不思議なことを探してはいるものの、 全員そろっている現状に密かに満足しているのではないのか。それだと唯一いないと言われている異世界人は、俺だし。 それに…… ―――― ―――― ―――― なーんてな。考えすぎにもほどがある。本当にそうなら、今目の前にいるハルヒは自分が神的変態パワーを持っていることを 自覚していることになっちまうが、それなら最初に世界を作り替えようとしてしまったこととか、元祖エンドレスサマーとかの 説明が全くつかなくなってしまう。自覚してあんなデリケートな性格になっているんだから、あえてやるわけがない。 普段の素振りを見ても、そんな風にはとても見えないしな。自覚しているハルヒを知っている身としては。 ……ただし。 ――あんたの世界のあたしがうらやましい。何も知らずにただみんなと一緒に遊んでいられるんだから―― この言葉が少々引っかかるが。 まあ、どっちにしろ凡人たる俺にそんなことがわかるわけもない。一々確認するのも億劫だし、面倒だ。 現状のSOS団に満足しているのに、わざわざヤブを突っつく必要なんてあるまい。 俺の妄想が本当かどうかはその内わかるさ――その内な。この世界も別の神とか宇宙的勢力とか出てきて、 まだまだ騒がしい非日常が続いて行きそうな臭いがプンプンしているし。 「ちょっとキョン! ちゃんと聞いているの!?」 突然ハルヒが俺のネクタイを引っ張ってきた。やれやれ、妄想もここまでにしておくか。 俺はハルヒの手をふりほどきつつ、 「で、次はどこに連れて行ってくれるんだ?」 その問いかけにハルヒはふふんと腕を組み、実に楽しそうな100W笑顔を浮かべて、 「聞いて驚きなさい。次はね――」 ~涼宮ハルヒの軌跡 完~
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5714.html
俺は勝利を確信した。何と銃弾が、朝倉を貫通したのだ。このときの俺は、すべてが終わったのだとそう思っていた。 「なかなかやるじゃない、私をここまで本気にさせるとはね」 「これは驚きですね」 「どういうことなんだ」 「長門さんの攻撃が聞かないと行ったところでしょうか」 そんなこと見れば分かる。まったくどうすりゃいいんだよ長門。 「僕の出番ですね」 そういって古泉は、赤い玉を手のひらに浮かべた。 そして古泉は、バレーボールのサーブの体勢をとって攻撃した。 「ふ~んもっふぅ」 朝倉はびくともしない。さあどうする古泉。 「これも駄目か。ならば、セカンドレード」 しかし、朝倉はあまり攻撃をくらっていない。 「あなたの力はそんなものなの。つまんないの、まあいいわ死になさい」 そういって朝倉のナイフが古泉に突き刺さった。 「古泉……しっかりしろ古泉」 「涼宮さんを頼みましたよ」 「分かったよ、だから死ぬなよ」 「涼宮さんを取り戻すことが出来れば僕は行き返れます。だから頑張ってください」 そういって古泉は、死んだ。くそ、どうすりゃいいんだよ。 「そろそろいいかな、私も時間がないの」 そういうと俺の体は動かなくなっていた。反則だろこういうのは。 しかしそのとき見覚えのある姿が俺の視界に入った。ハルヒだ。 「キョン、キョンなのね」 そうだよキョンだよ、でも今声が出せないんだよ。 「朝倉さんキョンに何してるの」 こいつはカナダに行ったはずの朝倉がここにいることを不思議に思わないのか。 「何って、キョン君を殺すの」 「何で、何でキョンなのよ」 「邪魔だから、じゃあ死んで」 ナイフが俺の目の前に飛んできた。しかし、ハルヒのおかげでナイフは当たらなかった。 するとハルヒが、「私を怒らせたみたいね朝倉さん」 気づいたら朝倉の姿はなかった。まさか、ハルヒのとんでもパワーがここまでとはね。 「さあキョン、帰るわよ」 「ああ、帰ろう」 古泉のことが気になるが、大丈夫と判断した俺は閉鎖空間を出ることにした。 すると古泉の言った通り、古泉がそこにいた。 「おう、大丈夫だっだのか」 「まあ何とかと言ったところです」 「それで鍵は全部集まったことになったのか」 「そのようですね。しかし、それにしては何も起きませんね」 「長門、どうなっている」 「あなたは確かに鍵を集めた。しかし、それを納める場所、つまり鍵穴のようなものを集めていないと考えられる」 分かりやすい説明をありがとよ長門。だが、またひとつ謎が出来たな。 「それで長門、鍵穴をどうしたら手に入るんだ?」 「おそらく急進派のボスが持っていると思われる。手に入れるには、ボスを倒さなければならない」 「そのボスは強いのか」 「私の強さの50倍ほどの強さだと思われる」 50倍ってどういうことだよ。 「涼宮ハルヒと私の力を合わせると互角の力になる」 「なら二人に頑張ってもらわんとな」 「そのためには、あなたの協力も必要になる」 「まあいいが、何をすればいいんだ」 「後で報告する。おでまし」 長門がそういうと急進派のボスがそこにはいた。 4章のつづく